空き家からブックセンターへ

古い空き家、でした

ここに住んでいたおじいちゃん・おばあちゃんが亡くなってから、誰も住んでいない、家が、ありました。

中もひっそりと時が止まったようでした。

土間にあるかまどや臼?は、50年は使われていないんだそうな。「牛小屋」だった場所もある不思議な空間。

かなり古い家、ということもあって、借り手も買い手も見つからず、数年が経っている状態。

そのまま放置するか、はたまた取り壊してしまうのか・・・だったのがまだ平成だった2016年頃。

長谷寺、のある街。

おぼろげな記憶・・・ここに住んでいた祖母は、「観音さん」とよく口にしていました。

ひょっとしたら毎日、お参りにも行っていたかもしれない。

この家から15分ほど歩いたところにある「長谷寺」です。

雄大な景色、大きな観音様、「花の御寺」として四季色とりどりの花も楽しめる、

ゆったりとして時間を過ごすことが出来るとても素敵なお寺です。

毎朝行われている「朝の勤行」。

朝陽を浴びる瞬間は本当に清々しくて、まるで生まれ変われるような気分になります。

「こもりくブックセンター」の模索

取り壊すのはしのびない、これも何かのご縁かな、と、何か出来ないかな、と、ぼんやりと考え始めたものの、

何かをやるといっても「商売」「ビジネス」の経験も知識はまったく無いし、

「空き家改修」は簡単じゃない。建築の知識やスキルも皆無。何より自分は500キロも離れた土地に住む身。

あるのはこの街と家への愛着と「やってみたい」という気持ちだけ。


我ながら無謀だなあ、と思いながら、それでも、遠くに住んでるからこそ、ここに拠点をつくって動いてみることにも意味があるのかな、とも考えながら、模索の日々が続きました。

大きな商売や、華々しい「空き家活用」は自分には出来ない、でも、この街には通い続けてのんびり考えよう・・・

2年ほど模索してそんな風に思い出した頃、

些細なきっかけから、友人と「本を置く場所」の話になりました。

せやな、本、と、奈良やそこにあるもの、が、好きな自分たちが好きに楽しく過ごす場所をつくれたら、ええね。

考えると、楽しくなって、「こもりくブックセンター」と、名付け、管理人、と、センター長、が生まれました。

たいそうなことが出来るわけではないけれど、たくさんの人に支えて頂きながら、試行錯誤しながら、少しずつ活動しています。

屋根に穴が開いたり、土壁がくずれて来たり、雑草と戦ったり、家の中に入り込んだ小動物におびえたり、、

ぜんぜん一筋縄ではいかないけれど(笑)。のんびり気長にやっていければな、と思っています。